この秋、「LLOVE」と題したエキシビションが東京?代官山で開催される。コンセプチュアルでオリジナリティ溢れるオランダデザインと、日本の若手建築家の競演による「LLOVE」は、オランダ?アムステルダムにある人気デザインホテル「LLOYD HOTEL(ロイドホテル)」監修による期間限定ホテル&カフェだ。期間は10月22日?11月23日。
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「LLOVE」はロイドホテルのディレクターであるスザンヌ?オクセナーが「LLOVE HOTEL」というコンセプトのもとに構想。かつて日本を訪れたオクセノーは偶然目にした日本のラブホテルを「必要最低限のフロント」と「その日の気分で自由に選べる部屋」がある、「愛が詰まったホテル」だと解釈した、という。
確かに、愛を交わすことを目的に利用されるホテルは世界的にみても珍しいものなのだろう。また、ときにサブカルチャーにも引用されるように、「ラブホテル」のインテリアは毒々しく派手で個性的、刺激する仕掛けに満ち、扇情的だ。
日本で行われるこのイベントのプロデュースを手掛けるのはスキーマ建築計画代表の長坂常氏。これまでも「Sayama Flat」や自身の設計事務所も入居する「HAPPA」などの空間デザインの仕事で知られる。
LLOVEは、実際にホテルとして宿泊することができる滞在型のデザイン展でもある。舞台となる「代官山iスタジオ」は、1968年に開設された奈良県渋谷寮をリニューアルした同県の情報発信拠点である、元「奈良県代官山iスタジオ」があった場所。本イベントでは3階を宿泊施設、2階をイベント会場、1階をカフェやホテル受付カウンター、ショップフロアとする計画だ。
2009年の日蘭国交樹立400年を記念して、日本とオランダのクリエイターがホテルの客室をイメージしてデザイン、8名のデザイナーが一部屋ずつデザインを担当。それぞれが作品でありながら宿泊し体験することの出来るユニークなホテルが「LLOVE」だ。
客室デザインを手掛けるのは、オランダからはリチャード?ハッテン、ヨープ?ファン?リースハウト、ピーケ?バーグマンス、ショルテン&バーイングといった、現代オランダを代表する4組のデザイナー、建築家。日本からは、中村竜治、中山英之、永山祐子、長坂常という若手建築家4名がエントリー。加えて、長坂常+クリエティブチームが6室のデザインを手がけ、計14室の個性的な客室が誕生する。全体のデザインの監修は、オランダを代表するグラフィックデザイン事務所、トーニックがつとめる。
また、ホテル内にはホテルの運営も手掛けるトランジットジェネラルオフィスによるカフェや、ギャラリー「YOKUJO」、東京、奈良、オランダの土産ものを販売するショップ「SOUVENIR FROM TOKYO + AMSTERDAM」やオランダのアートブックのディストリビューターIDEA BOOKSの本をセレクトしたユトレヒト×Whatever Pressによるブックショップ「BOEK DECK」もオープンする。
DESIGNTIDE TOKYOとも連動し、会期中にはオランダのデザインや建築、アートにまつわるさまざまなイベントも開催されるという。エキサイトイズムでは10月後半の会期スタートまで、「LLOVE」の進捗状況をレポート。次回はクリエイターのコンセプトスケッチをもとに、本エキシビションの全体像にせまりたい。
●参加デザイナー オランダ人デザイナー
リチャード?ハッテン/Richard Hutten
1967年オランダ?ツヴォラーケルスペル生まれ。アイントホーフェンデザインアカデミーでインダストリアルデザインを学び、現在ロッテルダムを拠点に活躍。プロダクト、家具、インテリアデザインなどを手がける。ドローグ?デザインの主要メンバーとして活躍、「現代のリートフェルト」との異名も。近作にデルフト工科大学のインテリア(MVRDVと恊働)、ラボバンク本社など。
ヨープ?ファン?リースハウト/Joep Van Lieshout
1963年オランダ?ラヴェンシュタイン生まれ。ロッテルダム美術大学で学び、1995年にアトリエ?ファン?リースハウトを設立。建築、デザイン、現代美術の境界を越えた仕事をしている。内臓の形のモバイルホームや人体をモチーフにしたオブジェなど、ちょっと毒のある作品が有名。日本では横浜トリエンナーレ2005に参加している。
ピーケ?バーグマンス/Pieke Bergmans
オランダ出身。オランダとイギリスでグラフィックデザイン、インダストリアルデザインなどを学び、現在、アムステルダムで活動。ドローグ?デザインにも参加。陶、プラスチック、ガラスなどさまざまな素材を使い、それぞれのジャンルの職人とコラボレーションしながら作品を制作。溶けたガラスの不規則な形のランプや折れ曲がったような陶器など、偶然生まれる形態によるデザインが得意。
ショルテン&バーイングス/Scholten & Baijings
1972年生まれのステファン?ショルテンと1973年生まれのカロル?バーイングスにより2000年に設立。ミニマムなデザインと細部にまでこだわった完璧なディテール、歴史などをモチーフにしたストーリー性のあるオブジェで知られる。オランダのザイデルゼーミュージアムやアムステルダム歴史博物館、カリモクなどとのコラボレーションも。
トーニック/Thonik
1967年オランダ?アムステルダム生まれのニッキ?ゴニセンと1960年オランダ?マーストリヒト生まれのトーマス?ウィデルショーフェンが1993年に設立、2000年にトーニックへ改名。ボイマンス美術館、2008年ヴェネチア建築ビエンナーレ、オランダ社会党、ユトレヒト中央美術館、アムステルダム市、スパイラル(ワコールアートセンター)などのアイデンティティを手がける。2009年スパイラルで個展も開催している。
●日本人デザイナー:
中村竜治/Ryuji Nakamura
1972年長野県生まれ。東京藝術大学大学院修了後、青木淳建築計画事務所を経て、2004年に中村竜治建築設計事務所を設立。主な作品に「ショートカット」(JIN's GLOBAL STANDARD 流山)、「空気のような舞台」(オペラ「ル? グラン?マカーブル」舞台美術)、「ブロッサム」(Private Dining of les halles de saison sage)、「とうもろこし畑」(東京国立近代美術館「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」)など。
中山英之/Hideyuki Nakayama
1972年東京都生まれ。東京藝術大学大学院修了後、伊東豊雄建築設計事務所を経て、2007年中山英之建築設計事務所設立。主な作品に「2004」「O邸」「Yビル」など。
永山祐子/Yuko Nagayama
1975年生まれ。1998年昭和女子大学生活科学部生活環境学科卒業。1998年?青木淳建築計画事務所を経て、2002年永山祐子建築設計設立。主な作品に「ルイ?ヴィトン京都大丸店」「丘のある家」「カヤバ珈琲」「anteprima plastiq 六本木店」など。AR Awards、JCDデザイン賞2005奨励賞など受賞多数。
長坂常/Jo Nagasaka
1971年大阪府生まれ。東京藝術大学芸術学部建築学科卒業。スキーマ建築計画代表。2007年事務所を上目黒に移転。ギャラリーなどを共有するコラボレーションオフィスhappa設立。これまでの主な建築作品に「Sayama Flat」「奥沢の家」「PACO」、家具に「Flat Table」「bench2」などがある。2009年、「HAPPA HOTEL」展を開催。
●LLOVE
代官山iスタジオ 東京都渋谷区恵比寿西1-36-10(代官山駅から徒歩1分)
10月22日?11月23日
【加藤孝司,エキサイトイズム】
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引用元:
RMT